雑動部活動日誌01〜10

■書いた日:【2000年05月04日】

■題  名:その1 「松室 雅樹」新入生

 オレの名前は「松室 雅樹」(まつむろ まさき)。

 この中学校に入学して、はや一週間。
いまだ、オレが入りたいと思う「部」がない。
 熱しやすく冷めやすい性格。自分でもわかっている・・・。
そこで、目に着いたのが「オールシーズンスポーツ部」。
「夏は水泳、冬はスキー」。 

 「おぉ、これこそオレ向きっ」

と いってみたが、
 
 「あーごめん。もう男子は締切ったから。
  それに・・・君じゃ・・・面接でおとされるよ、たぶん。
  うちの部長、きびしいから。」

まさき「・・・?」
   「なんじゃそりゃ・・・(ムカツクっ!)」

■書いた日:【2000年05月04日】

■題  名:その2 「雑動部」発足!?

 なんか悔しいので、なんかとっても腹が立つので、
対抗して、同じような新しい部を作ろうと、担任に掛け合った。

 「そりゃー難しいなぁ、同じ内容じゃ。
 それに一人じゃ無理だぞ。せめて、うーん、3人かな」

 オレはとりあえず、人数を揃えることにした。
同じ小学校卒の友達、
「長谷部 祐一(はせべ ゆういち)」
「橘 和雄(たちばな かずお)」を誘ってみる。
ってゆうか、何も言わずに連れてきた・・・。

まさき「先生! たのむよー! お願い!」
先生 「そう 言われてもな〜」

と、そこへ別の先生が入ってきた

「坂井先生、2階の倉庫のかたずけどうしました?」
「ああぁっ! 忘れてたっ!」

オレと先生の目があった・・・

「・・・そうだ、こうしよう。スポーツだけじゃなくて
 いろいろやる部にしよう。雑務部! 雑務部!な!な!
 よし、決まり!  じゃ早速、初仕事。いや初活動!
 2階倉庫のかたずけだ〜  いくぞ〜! お〜!」

先生が廊下に消えていく・・・

友達2人「なんの話し?」
まさき 「さ、さぁ〜・・・」

 

■書いた日:【2000年05月07日】

■題  名:その3 同好会!?

かずお  「どういうことなんだよっ!!
     まむ〜!!」
     (まむ〜 とは、オレ、まさきのあだ名だ)

ゆういち 「雑務部ってなに?」

かずお/  
ゆういち「なんで倉庫のそうじ、
     やらされてるんだよう〜!!」

まさき  「あははははははっ!!
     はいっ! そこ! 手やすめない!」
かずお/  
ゆういち「こ、た、え、ろ、よぉ〜!!」

まさき 「クククククっ シクシクシク・・・」
かずお/  
ゆういち「泣きまねは、や、め、ろぉ!」
坂井先生「なんとか昼休み中に、終わりそうだな。
    で、悪いんだけど、先生、ほかに用事あるんだ。
    あとゴミを、ゴミ捨て場に持ってくだけだから、
    たのんだぞ。 んじゃ、悪いけど、よろしく!

     あっ そう、手続きは放課後なっ。
    でも最初は、同好会だぞ。 んじゃ、よろしく!」

まさき 「ど、同好会!? 先生 ちょっとぉ〜
     カッコわるいよ〜!! せんせ〜い」  

  先生は廊下に消えていく・・・
 

 

■書いた日:【2000年05月07日】

■題  名:その4 脅迫!?


 放課後の男子トイレで叫ぶオレ。

まさき  「な! たのむよ。お願いします!
     な! な!」
かずお/  
ゆういち「・・・・・・・・ 」
まさき 「べつに入りたい部とか無いんだろ!
     かずぅ〜」
かずお  「オレは忙しいの! 塾があるんだよ。
     今日だってこれからいくんだよ。
     こんなことしてる暇もないの!
     ・・・なにが悲しくて、男3人
     放課後のトイレで、語りあってんだよ。

まさき  「塾、塾って。勉強しすぎだよ。おまえ。
     もっと、時間を大事にしようぜ。
     今を、楽しもうぜ!
      ・・・とまでは言わないけどさ、こう、
     男3人で語る時間だってさぁ・・・
      あぁ!! 女か!? 女なのか?
     女子部員もいればいいのか?」

かずお  「違うって。 オレもう帰る。じゃあ。」
まさき  「あぁ。ばらしちゃうぞ!
     ラブレター事件!! いいのか!!」

かずお  「お、おまえ、汚ぇ〜な〜。悪魔だよ。
     マモーだよ。マモー!!」

まさき  「な! 入ってくれよ。いいだろ?」
かずお  「勝手にしろっ!!」

  廊下に消えていくかずお。

 

■書いた日:【2000年05月08日】

■題  名:その5 かけもち


まさき 「ゆうちゃんは入りたい部とかあるの?」
ゆういち「写真部か美術部に入ろうかと
    思ってるんだけど・・・
     どっちにするか迷っちゃって・・・」

まさき 「・・・!。
     えらい! ゆうちゃん。
     真剣に考えてるんだ! 」
ゆういち「そりゃそうだよ。3年間
     続けるんだから。よく考えなくっちゃ。」
まさき 「じゃ〜さぁ、迷ってるんだったら
    かけもちでやれば?
     先生言ってたけど、文化部のかけもち
    してる人って、結構いるらしいよ。」
ゆういち「掛け持ちか〜。それもいいなぁ。」
まさき 「そうだよ。そうしろよ! ゆうちゃん。
     そうしちゃえよ。 な。 決まり!」
ゆういち「う〜ん・・・。そうしようかな〜。」
まさき 「・・・そこでだ!
     どうせ、かけもちするなら二つも三つも
    かわらないだろっ!! な!
    そうおもうだろ? たのむ! なっ!」

ゆういち「そう来たか・・・。まぁ、いいや。」
まさき 「ヨッシャァァァァ〜ッ!!!。
    っあ!?」

 先生がトイレの入り口からのぞいているっ!

まさき/ ゆういち「いや。なんでもないです。はい。
    さようなら〜。」

 オレとゆうちゃんは顔を見合わせた。

まさき 「・・・びびった〜・・・」

 

■書いた日:【2000年05月09日】

■題  名:その6 受理・・・


 いよいよ残るは、この用紙に必要事項を記入して、
提出するだけだ!

まさき 「えー、代表者・・・
    1年3組、松室、雅樹っと。
     同志者・・・
    1年1組、長谷部、祐一。
    1年5組、橘、和雄 っと。
     部、または同好会の名称・・・
    ざ、つ、む・・・む? む〜?
    あれ、「む」ってどんな字だっけ。
    むむむむむむぅ〜  む!
     わからん。 いいや、つぎ!
     運動部、文化部どちらかに○・・・
    運動部っと。あ、「動」!
    これでいいか・・・、「雑動部」っと
     活動内容・・・ え〜っと
    その季節季節にあったスポーツを
    するっと。 
     よし! できた、できた!
    先生、できました! お願いします!」

坂井先生「おぉ。書いたか。よし。ん?
    名前かえたのか? 雜動部に。
     んじゃ、これでOKだな?」
まさき 「はい!
      いや〜、明日から楽しみですよ!
    テニスに、バスケに、プールに、スキー
    あははははっ」
坂井先生「いや、そりゃ無理だな。
    中庭の掃除、体育倉庫の掃除、
    来賓用トイレの掃除・・・明日から
    予定びっしりだ。」

まさき 「えっ ええ!!?」

 オレは用務員のおいちゃんかっ!!

 

■書いた日:【2000年05月10日】

■題  名:その7 中庭


 オレは中庭にいた。
 入学して一週間ちょい、校舎の窓から 何度かこの中庭を見たことはあるが、 別に気にもならなかったし、来たいとも 思わなかった。
 が、実際来てみると、うん、なかなか いいところだ。
 オレはちょっとベンチに横になった。

  遠くで聞こえる吹奏楽部の練習の音、
  かすかに聞こえるグランドの生徒達の声、
  時々聞こえる笑い声、
  中庭の小さな池の水の音、
  素肌に感じる春の日差し、
  その日差しで黄緑に輝く草花、
  そして草花の間をすり抜ける
  心地よい そよ風・・・

  ・・・風にのってやって来る
  ゴミで詰まった排水溝の臭い・・・

  「うわっ くさっ!!
   眠気もふっとぶっちゅうねんっ!!」

 先生は「雑草取ったら、排水溝の掃除な。」 と言い残して、また用事があるとか言って 何もしないで消えた・・・。
 かずおは塾。ゆうちゃんは写真部・・・。
 雑草を取り終えて、ベンチでよこになって 休憩をしてたが、眠れやしない。
 仕方ない、さっさと終わらせて帰ろうと 排水溝のふたを開けると、上履き(シューズ)が 詰まってた・・・かたっぽだけ。

 「ふざけろよっ!!」

 

■書いた日:【2000年05月11日】

■題  名:その8 第一回会議


 ゆうちゃんのかけもちの部は、今日はなく、
かずの塾も講師の都合で休み、っということで、
急きょ、「第一回雑動部会議」を行うことにした。 いや、正式には、雑動同好会か!?  まだ、部室も無いどころか、顧問の先生も正式に 決まってないらしいので(坂井先生は顧問が決まる までの仮の顧問と言っていた)、坂井先生が担任で あり、オレのクラスでもある1年3組の教室で行う ことにした。

まさき 「え〜、これより、第一回っ!!
    雑動部会議を行います!!」

 先生、かず、ゆうちゃんの3人が静かにオレを 見つめる。

まさき 「え〜、まず始める前に、え〜、
    みなさんの強い願望と、惜しみ無い努力、
    そして、我をかえりみない御協力により、
    この、雑動部の創立、ならびに、第一回
    雑務部会議を迎えられたことを、感謝し、
    お礼を申し上げる次第でございます。

     え〜、つきましては、この雑動部、
    さらなる発展と活躍を目指し、日々努力
    してゆく所存でございますので、今後とも
    皆々様方の、より一層の御指導、御鞭撻
    くださるようお願い申しあげます。」

 みんなは静かに窓の外を見ていた・・・。

 

■書いた日:【2000年05月11日】

■題  名:その9 小泉先生

 
  16、17、18、19、20、21、
「お、あ、終わったか? 話し?」

 オレがしゃべるのをやめてから20秒経って、 窓の外を見ていた先生が、ようやくこっちを見た。
 他の二人も気が付いてこっちを向いた。
オレの話し全然聞いてないだろっ、おまえら!

坂井先生「んじゃ、先生からの話な。
    え〜、まず、顧問のことなんだけどな。
    先生方に希望者がいなかったので、
    しばらくの間、私がやります。あんま
    やりたくないんだけどな・・・ハハ。」

まさき 「え〜。女の先生がよかったな〜。」
かずお 「たとえば?」
ゆういち「そう、あの音楽の小泉先生みたいな。」

 そう言って窓の外を指差した。
 反対側の校舎にちょうど音楽室が見える。
そこで小泉先生がピアノを弾いている。
この3人、これをずっと見ていたのかっ!!

坂井先生「ば、バカなことを言うなっ!
    小泉先生にこんな部をさせられるかっ!
    とんでもないっ! 私達一般人と、一緒
    にするなっ! バ、バカもん!!」

かずお 「先生・・・小泉先生、好きでしょ。」

坂井先生「バ、バカ言うな・・・」

まさき 「ヒュ〜ヒュ〜!!」

■書いた日:【2000年05月13日】

■題  名:その10 こない!?


坂井先生「ゴホンッ。え〜。 話を続けます。
    今後の活動予定についてだが・・・。
     このようになっている。」

 そう言ってプリントを配った。

まさき 「体育倉庫の掃除、来賓用トイレの掃除、
    芝生の手入れ、給湯室のそうじ・・・」
かずお 「どういうことなんだよ。まむー。
    いろんな部を楽しめるんじゃないのか?
    科学部、演劇部、写真部。
    卓球、バドミントン、体操、
    ワンダーフォーゲル・・・」
ゆういち「そうだよ。まむー。
    これ、そうじばっかりじゃん。
    なんで雑用ばっかりなの!」

まさき 「・・・と、という質問がでましたが、
     先生、どういうことなんでしょうか?」
坂井先生「ゴホン。え〜、それはだな・・・
    同じような活動内容の部がすでに存在し、
    認可されにくい・・・ ということで、
    え〜、ん〜、そ、そう、とりあえず、
    それなりの実績をあげ、先生方の信頼を
    得てから、希望を叶えてい、いこう・・
    と、そ、そう思ったわけだ。うん。」

かずお 「・・・なんか、あやしいな・・・」
まさき 「坂井先生。他の先生に押し付けられて
    んじゃないの? なにか、弱みにぎられ
    てるとか・・・」
坂井先生「ま、それも無くはないんだけどな。
    じつは・・・、来ないんだ・・・。」

3人  「・・じつは、こない!? なにが!!」

坂井先生「・・・用務員のおじさん・・・。」

3人  「・・・はぁ?」

 

この日記に登場する人物、団体、事件等は、すべて架空のものです。
なお「書いた日」とは作者の書いた日付けで、
作品中の日付けとは関係ありません。

 

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